腰痛の診断・治療を行う上で
治療家を困らせる1番大きな悩みのひとつに
何が原因かがあげられます。
今まで常識だと思って行っていたその検査法、
あなたにベストな検査法ではないかもしれません。
例えば、
レントゲン検査、CT、MRI、です。
「通常の血液検査もした」
さらに、
「問診でもわからない」
「脚の筋力も検査した」
「膝やアキレス腱の腱反射も検査もした」
「腰椎も打診してみた」
でも
「原因がよくわからない」
ので、
痛み止めや筋の緊張を緩めて血流改善を図る薬を
3日分処方された…
あなたも、
こういった経験を一度はしたことが
あるのではないでしょうか?
そこで、
この記事では
『腰痛の原因を突き止める上で何をやったらいいか』
について解説していきます。
ぎっくり腰の正体のひとつ
急性腰痛(いわゆる、ぎっくり腰)は、
従来、
放置してもその多くは,
短期間に自然消失すると言われてきました。
が、最近では、
必ずしも予後良好な疾患ではないことが明らかになりつつあります。

↑↑
上図は仙腸関節の部位を示す(〇印)
残念ながら、
腰痛の原因を診断する過程で
仙腸関節の機能障害を一次要因と仮説を立てる
整形外科医は多くはありません。
理由は、
西洋医学では長い間、
仙腸関節は、
「動かない!」
と
考えられてきたからだと思います。
私も学生時代、
解剖学の授業(整形外科医の教授から)で
そう教わりました。
しかし、
今だに賛否両論ありますが、実際のところ
仙腸関節は、動きが極端に少ない(感覚的には1ミリ程度)ながらも
「動きます!!」
これが真理です。
しかし、
この仙腸関節は、
下肢と脊柱をつないでいる関節ですが、
縦方向であるばかりか
平らな関節面であるが故に(上図を参照)
構造上、
縦方向のストレス(「剪断力」といいます)に晒されやすく、
無理な力が掛かる(無理に、あるいは不用意に重いものを持ち挙げたり)と
関節の嚙み合わせがズレて、関節同士の ”あそび” がなくなります。
このことを
「仙腸関節の機能障害」と言います。
そうなると腰に強い痛み
が生じるのです。
つまり、
仙腸関節に無理が力が掛かる(無理に重いものを持ち挙げたり)と
関節の動きが硬く(狭く)なります。
↓
その周囲の組織、殊に後方の靭帯が過緊張になる。
↓
その結果、
靭帯やその周辺組織に分布する
知覚神経終末や侵害受容器(センサー)が刺激されて、
その刺激が電気信号に変換されて脳で疼痛として感じる
と考えられています。
(このメカニズムは、まだはっきりはわかっていません)
そして、
これら仙腸関節の機能(噛み合わせ)の異常は腰痛ばかりではなく,
関連痛として下肢に痛みやしびれを引き起こすことも知られていて
坐骨神経痛と診誤ることがあるので注意が必要です。
仙腸関節が痛みの原因かどうかを突き止める方法
仙腸関節性腰痛の鑑別の仕方は下の図が参考になります。
↓↓↓ 
↑
「フィンガーテスト」の様子

フィンガーテストとは、痛い部分を人差し指で指さしてもらったときに上後腸骨棘(PSIS)という部分に指が向かうこと(上記の写真)。
仙腸関節機能異常の診断基準
【仙腸関節機能異常の診断基準】は、
下表のごとくで、通常1 ~ 2回のAKA(関節の整復操作を行う日本で最も知名度の高い施術方法)で3週以内に治癒する。
表 仙腸関節機能異常の診断基準
1.神経脱落症状なし
2.痛み,感覚異常(しびれ),筋力低下が神経の領域に一致しない
3.初診時(①~⑥の2 つ以上)
① SLR 制限が軽度(健側と比較)
②体幹屈曲制限が軽度(指尖床間距離 FFD)
③体幹伸展痛または伸展制限
④体幹側屈時の伸側痛
⑤ Fabera,Fadirfの痛み(同側,対側)
⑥ SLR で対側の痛み
4.初診時AKAにより症状は消失または著減し,1~ 2 回の治療で3週以内に治癒する.
【参考文献】
住田憲是.特集●急性腰痛に対する脊柱矯正法の現況─適応,手技,効果,限界─AKA−博田法.日本腰痛会誌,11(1): 69 – 78, 2005
まとめ
今回はぎっくり腰を治療する上で問題となる原因に対して、わたしの経験と文献を用いて回答しました。
- 急性腰痛(いわゆる、ぎっくり腰)の原因はどこにあるのか?
- 仙腸関節性腰痛はなぜ起こるのか?
- 仙腸関節性腰痛を簡単に鑑別する方法は?
- 仙腸関節機能異常の診断基準はあるのか?
画像診断で原因を表示することは出来なくても、
前述した方法を使えば、簡便に痛みの部位を特定できるので、
初心者でも十分使えることがご理解いただけたかと思います。
病院でレントゲン検査で異常なしと言われたけどなかなかよくならない、
あるいは、
長引く(概ね2週間以上経つけどよくなる気配がない)ぎっくり腰でお困りの方は、
是非この記事を参考にしてください。
追伸、
このように、仙腸関節は私が知る限り
30年以上前から「動く」「動かない」と賛否両論のある
謎の多い関節ですが、ぎっくり腰の場合、
代替医療では、この関節の機能異常をまず最初に疑います。
なぜなら、
この関節の機能障害(あそび)を術者の指先だけで調整(最適化)することで
首からつま先までに出現する多くの痛みの改善にも関わっている
”要所”でもあるからです。
以上、ご参考になれば幸いです。